> index

公開コピーについて

MUSC(the Meisei University Shakespeare Collection)データベースで公開するサード・フォリオは明星大学図書館所蔵のF3-2と通称される、請求番号 932.141 Sh 12 1664-2、貴重書番号MR 733で特定されるコピーで、サード・フォリオの2刷りです。サイズは 324x211 mmと計測されます。1980年に明星大学図書館所蔵となる前のある時点で、このコピーは、John Millet Prescotなる人物の所有であった形跡やMiss Gwynnという古書販売者と考えられる人物があつかった形跡[いずれもMUSC画像番号11 (πA2)]はあるものの、『オックスフォード英国人名辞典』では該当する人物は見つかっていません。

サード・フォリオの書き込み

サード・フォリオ公開コピーには、おそらくは18世紀のものとおもわれる書き込みが多数残されています。『あらし』から『シンベリン』までのテクストページだけでなく、本体の前には4葉、後ろには3葉綴じ込まれているフライリーフの表ページには、グロッサリーが几帳面な字でびっしりと書き込まれています。詳細に調査した結果、書き込み筆者は1743/44年にオックスフォードで出版された、サー・トマス・ハンマーの編纂した『シェイクスピア作品集』の注釈、ならびに巻末グロッサリーを、かなり忠実に書き写していることが判明しています。注釈を書き写した書き込みの転写はNoriko Sumimoto `A Transcript of the Marginal Annotations in a copy of the Third Folio of Shakespeare: The Comedies’, Meisei Review, 20 (2005), 11-26 and ‘A Transcript of the Marginal Annotations in a Copy of the Third Folio of Shakespeare: The Histories and the Tragedies’, Research Bulletin of Meisei University, Humanities and Social Sciences, 42 (2006), 1-18 を、また、書き込み筆者の転写行動の分析については、住本規子「サード・フォリオのマージナリア――注釈を書き写す――」『明星英米文学』第22号(2007年3月)pp. 55-68 をご覧ください。



August 31, 2007

> index